第48話「ここの家の子になる」

前回、

「ずっと三毛猫だと思っていた猫」

と書きました。

ところが昔の写真を見つけて、改めて見てみると――

……三毛猫じゃない(笑)。

なぜ私は、この子を三毛猫だと思っていたのか。

記憶にございません(笑)。

たぶん、その前に来ていた猫と記憶が混ざってしまったんでしょう。

……ということにしておきます(笑)。

その頃、わが家のベランダには、いろんな猫がご飯を食べに来ていました。

黒猫、トラ猫、長老みたいな猫。

ご飯を出すと、みんな集まってきます。

私は最初、みんなちゃんと食べているものだと思っていました。

ところが、ある日よく見てみると――

クロだけ、食べていない。

みんなの周りをウロウロしているだけ。

クロは、とにかく食べるのが下手でした。

せっかくご飯のところまで行っても、ほかの猫に横から取られてしまう。

「この子、全然食べられてないじゃん……」

それからは、せめてクロだけでもちゃんと食べさせようとしました。

でも――

それでも取られる(笑)。

クロのために出したご飯なのに、気がつくと別の猫が食べている。

クロはまた、その周りをウロウロ。

当時の写真を見ると、本当に小さい。

痩せていて、私はずっと子猫だと思っていました。

そのうち、いかつい猫たちはどこかへ移動したのか、だんだん来なくなりました。

それでも毎日やって来たのが、二匹。

クロと――

三毛猫だと思っていた、三毛猫ではない女の子(笑)。

朝、カーテンを開けると、

二匹がいる。

毎日、二匹でやって来ました。

そしてそのうち、二匹とも少しずつ家の中へ入るようになりました。

最初はおそるおそる。

でも慣れてくると、家の中でまったりするようになりました。

特にクロは、どんどん中へ入ってきました。

ドアを閉めても平気。

触っても平気。

そして、こっちを見る。

今、その頃の写真を見ると――

なんだか、

「お願いします」

って言っているように見えます(笑)。

そして、運命の日がやってきました。

先に手術をしようと思っていたのは、女の子の方でした。

病院も予約してありました。

ところが、その日に限って――

何かを察したのか、

サーッと逃げた(笑)。

そして、その子は来なくなってしまいました。

でも病院は予約してある。

さて、どうしよう。

ふと見ると――

クロがいる。

いつものように家の中で、

まったりしている(笑)。

「じゃあ……クロ、行く?」

こうして、予定外だったクロが病院へ行くことになりました。

そして――

そのまま、わが家の猫になりました。

不思議なものです。

私は白老へ来たとき、

「猫と暮らしたい」

と思っていました。

たくさんの猫がわが家へやって来ました。

その中で、一番小さくて、

ご飯を食べるのも下手で、

いつもほかの猫に取られていたクロ。

私がクロを選んだつもりだったけれど――

今になって思うと、

もしかしたら逆だったのかもしれません。

毎朝やって来て、

少しずつ家の中へ入ってきて、

ドアを閉めても逃げず、

触っても逃げず、

そして手術の日まで、そこにいた。

クロは最初から、
「ここの家の子になる」
って決めて来たような気がします。

ちなみに――

家猫になって、ちゃんとご飯を食べられるようになったクロは、

あっという間に大きくなりました(笑)。

そして外へ出たがる気配も、

まったくありませんでした(笑)。

どうやらクロの計画は、

大成功だったようです。🐾